■サスペンションセットアップの基本

快適性と安全性向上の為に」 WPのテクノロジー = 路面とあなたをつなぐ最高のサスペンションユニット

パイクを操るライダーは非常に様々な路面状況の中を走り続けなければなりません。 高速道路、ヘアピンカーブの続くスリッピーな山道、凸凹な不整路、都市の渋滞路・・・・ その様々な状況の路面とライダーを結ぶサスペンションは絶対的な信頼がおける存在でないといけません。 つまりバイクのロードホールディング性能(タイヤを路面に効率的に接地させ続ける性能)をコントロールするこ とはライダーの安全性を決定づける大きな要素といえます。

これはタイムを競うレースだけでなく、リラックスしたツーリングにも同じ事が言えます。 ここではパイクのサスペンションの基本とその役割や重要性についての説明をします。 特に高性能なサスペンションを装着し、快適性や安全性を向上させたいと思われている方には非常に有意義な 情報になると思います。

■サスペンションの基本

フロントフォーク及びリアショック双方が最適な状態で機能している場合、バイクはギャップを吸収しながらも」 パイクにトラクションを与えて前に進め、ライダーはサスペンションそのものの存在を殆ど意識することはないで しょう。

路面からの衝撃の吸収はショックアブソーバーのスプリングと特にダンパーユニットがそれぞれの役割を果たし ながら行われます。スプリングから発生する反力を抑えるのもダンパーの仕事です。それらの仕事が行われている お陰で、過剰なローリングやピッチングを抑え安全にライディングすることができます。

スプリングの最も重要な機能はパイクの重量を支え、サスペンションがフルボトムするのを防ぐと同時にパイク の姿勢を確実に適正な位置に戻るのを助ける役目を負っています。ダンバーはサスペンションが伸縮される全ての 作動を制御し、安定性の向上に貢献します。

前後サスペンションが正しく機能すればパイクが安定し、快適性と安全性は大きく向上するでしょう。逆にサス ペンションが上手く機能しないと、安全性と快適性は損なわれ常に危険な状態になるでしょう。 では、サスペンションが機能していない状態ではどのような悪影響があるのでしょうか?

・路面の凸や凹に対してパイクが跳ねたりふらついたりします。 パンプ通過後、サスペンションを通じてライダーは強い衝撃を受けます。 ハンドリングが重く、バイクを自分の想定する走行ラインにのせることが困難になります。 バイクが振られやすくなります。

上記で述べたような危険な状況を回避するためのテストの実行方法を紹介します。 原因の追求は対処方法への答えともなります。 上記のような問題点が明らかでない場合でも貴方自身がパイクのハンドリングを感じることができる場合は」 ハンドリング改善する為のテストを行うことができます。 そのテストの結果であなたのパイクの前後サスペンションをどのように改善できるかを決定することができます。

■サスペンションのテスト方法

テストを始めます。 最初のテストの3項目はパイクが制止した状態で行います。 3段階で順にテストを進めます。 制止状態でのテスト行う場合、バイクを支えてもらえる人がいるとスムーズに手順が行えます。

1.ブレーキレバーをひいた状態で全体重をフロントフォークにかけ、フォークを沈み込ませ、最も深い位置で 体重を抜きます。フロントフォークは元の位置までスムーズ且つ素早く戻るのが理想的です。」 フロントフォークが伸びる時は均一なスピードで、そして伸びきり後はそのスプリングの反発の動きが素早く収束 するようにセッティングされていなければなりません。フォークの伸びるスピードが速すぎても、また遅すぎても」 ダメで、伸びきり後は反発で跳ねるようではいけません。

  1. シートを押してリアサスペンションを可能な限りの力で押し込み、リリースします。 リアサスペンションはダンパーによってコントロールされたスムーズで流れるようなモーションで元の位置に戻る のが理想です。 あまりに急激な反発は好ましくなく、また戻りが遅すぎるのも問題があります。(オーパーダンピング傾向)」

3.パイクに跨り、通常座る位置でライディングポジションをとってください。 前後サスペンションには静止荷重が与えられます。この状態でパイクの前後サスペンションはほぼ前後均等に且つ スムーズに沈み込まなければなりません。何か問題があれば、前後サスペンションのバランスが狂っています。

もし上記のテストで貴方のバイクに大きな問題が見つからなくても、それはあくまで平均的でスタンダードの状態 であるというだけです。もし、貴方がスタンダードな状態に満足せず、各々のライディングスタイル、好みに合わ せたパーソナルセッティングにトライしたいのであれば、より範囲の広いロードテストを行うことを提案します。 貴方のスタイルとバイクのキャラクターに最適なセッティングが見つかるかもしれません。 「理想的なセットアップを追求するにはまず貴方のバイクに普段掛かっている荷重(ソロ、タンデム、ツーリング バッグ等)を計算し考慮に入れて下さい。貴方が長時間に渡ってバイクを安全、快適にライディングしたいなら」 ば、メインとなる使用用途の状況に合わせて下さい。 ロードテストの結果によってあなたはサスペンションのどの部分をどの程度アジャストしなければならないか、 導き出すことができるでしょう。ロードテストを行う前に先に述べた3つの静止状態でのテストをし、サスペン ションが確実に機能しているか、充分に確認して下さい。 フロントフォークとリアショックを再セットアップすることにより、さまざまな問題を解決することができます。

ロードテストでの再セッティングが問題の解決とならない場合、下記のトラブルシューティングを参照して下さ い。 この解決方法は、もし貴方のパイクのサスペンションに調整機能がない場合や正しく機能していない場合でも適用 されます。

■ロードテストに関する幾つかの重要事項

テストでは常に同じコース、ルートを走って下さい。 メーカー指定の標準セッティングが存在する場合、標準位置にセットして下さい。 毎回、通常使用されるライディングギア(ヘルメット、ジャケット、ブーツなど)を着用し、できるだけ同じポジ ションを保ち、 同じスピードで走ることを心がけて下さい。」 テスト時には安全に関して充分に注意を払って下さい。貴方は他の交通に関してだけでなく自分のマシンの状態にも 気を付けなければなりませんので、テスト時は普段の倍の集中力を必要とするでしょう。テストでは状態を冷静に判 断して下さい。 最新のスポーツバイクには多くのアジャスト機能が備わっており、経験の少ないユーザーもしくはメカニックでは最 適なセッティングを決定するのが困難になっています。 セッティングの変更時は変更箇所を常に一箇所にとどめておいて下さい。 (同時に違う部分のセッティングを変更しないこと!) セッティング変更時はその変更箇所と変更した量、そしてその効果を常にデータとして記録して下さい。

セッティング変更時に混乱するのではないかと、必要以上におそれることは全くありません。もしわからなくなった ら、メーカー指定の標準位置に戻せばいいのですから。」

■サスペンションに関する幾つかの専門用語の解説

実際にテスト走行にうつる前に、サスペンションに関する幾つかの専門用語を学ぶことは非常に有意義なことです。 まず最初に、スプリングプリロードについて説明します。 プリロードの設定、変更は特に乗車時におけるパイクの姿勢に影響を及ぼします。プリロードは通常はロックナット を緩め、スプリング・リテーナー・ナットを回転させることで調整できます。(*一部にカム式や油圧式もあります)」

パイクを直立させた状態でホイールを接地させると、フロントフォークはバイクのパネ上重量により数センチほど 沈みます。これは1Gやネガティストローク、リバウンドストロークなどと呼ばれて、知られています。空車状態 でのネガティストロークはフロントフォークやリアショック本体のフルストローク値の約15%~35%程度の範 囲に収まるよう設定して下さい。例えばフルストロークが120mmのフロントフォークの場合、ネガティブスト ロークは18mm~42mmの範囲で設定して下さい。これはフォークのインナーチューブやリアショックのピスト ンロッドにタイラップ等を巻くことによって簡単にチェックすることが出来ます。乗車時のネガティブストロークは、 フルストロークの35%~50%の範囲で設定して下さい。 例えば、フルストローク70mmのリアショックでは24.5mm~35mmとなります。 コンプレッションダンピングはフロントフォークもしくはリアショックが圧縮される行程で発生し、リバウンドダン ピングは伸びる行程で発生します。

■診断と対策【リアショック編】

貴方がサスペンションセッティングに関する問題点を素早く発見し、解決するための幾つかの症例を挙げます。 トラブルシューティング概要 リアショック編」

問題点1. サスペンションのネガティブストロークの不足 加速時もしくは粒の通過時に吸収性が悪い。 ショックアブソーバーが充分にストロークしない 乗り心地悪い 下り坂などでフロントに過大な荷重がかかる 原因 スプリングプリロード過大 (スプリングレート過大) 对策 プリロード減らす。(必要に応じてスプリングレート下げることも考慮して下さい)

問題点2. パイク(リアサスペンション)が深く沈みすぎる ネガティブストローク過大 フワフワして乗り心地が悪い 底づき、突き上げ感がある 不整路等でステアリングが振られる 原因 プリロード不足 对策 プリロード増やす(必要に応じてスプリングレートを上げることも考慮して下さい)

問題点3. 乗り心地が悪い 高速コーナー、特に加速時にリアタイヤが跳ねる傾向 不整路でのリアタイヤの跳ね 吸收性不足 原因 コンプレッションダンピング大 対策 コンプレッションダンピンググをアジャスターでソフト方向にアジャスト サスペンション内部の仕様をソフトに設定変更 サスペンションユニットそのものの不具合の場合は、オーパーホールもしくは交換

問題点4. リアサスがボトムする 大きなパンプ通過時にライダーとバイクへの衝撃が大きく姿勢を乱しやすい コーナーからの脱出時に腰砕けのような症状がある 原因 コンプレッションダンピング不足 对策 コンプレッションをアジャスターでハード方向にアジャスト」 サスペンション内部の仕様をハードに設定変更 サスペンションユニットそのものの不具合の場合は、オーパーホールもしくは交換

問題点5. サスペンションの作動性が著しく悪い、鈍い 不整路等で路面の追従性が悪い パンピーな路面で跳ねる傾向 乗り心地が非常に悪い 韓などでハンドルを取られやすい傾向 ハンドリングが重い 原因 リバウンドダンピング過大 対策 リバウンドダンピングをアジャスターでソフト方向にアジャスト 必要に応じてプリロードを増やす サスペンション内部の仕様をソフトに設定変更 サスペンションユニットそのものの不具合の場合は、オーパーホールもしくは交換

問題点6. サスペンションが動きすぎる。 常にパイク全体の挙動が落ち着かない リアホイールが跳ねる傾向。フワフワする。 原因 リパウンドダンピング不足 対策 リバウンドダンピングをアジャスターでハード方向にアジャスト 必要に応じてプリロードを減らす サスペンション内部の仕様をハードに設定変更 サスペンションユニットそのものの不具合の場合は、オーバーホールもしくは交換

■診断と対策【フロントフォーク編】

貴方がサスペンションセッティングに関する問題点を素早く発見し、解決するための幾つかの症例を挙げます。

トラブルシューティング概要 フロントフォーク編

問題点1. フォークが殆どストロークしない。動きが固い 加速時や職の通過時に強くハンドルが振られる。 乗り心地悪い フロントホイールが跳ねる。悪路で吸収性が悪い。 原因 プリロード過大 スプリングレート過大 フォークオイル油面高すぎる 对策 プリロード減らす スプリングレートを下げる。プログレッシブスプリングに交換し、弱めにプリロードを掛ける フォークオイル油面を下げる

問題点2. フォークの初期沈み込みが多すぎる ネガティブストロークが多すぎる 頻繁にフルボトムする 下り坂やハードなブレーキングでフロントが振れる。安定しない 原因 プリロード不足 スプリングレート不足 フォークオイル油面が低すぎる 対策 プリロードを掛ける スプリングレート上げる。プログレッシブスプリングに交換し、強めにプリロードを掛ける フォークオイル油面上げる

問題点3. フロントフォークの動きが渋い、動きが途中で止まる 原因 コンプレッションダンピング過大 対策 コンプレッションダンピングをアジャスターでソフト方向にアジャスト 必要に応じてフォークオイルを低粘度なものに変更する。

問題点4. 悪路やブレーキング時に衝撃を受ける ブレーキング時に沈み込みが速い 原因 コンプレッションダンピング不足 对策 コンプレッションをアジャスターでハード方向にアジャスト」 必要に応じてフォークオイルを高粘度なものに変更する。

問題点5. フロントフォークの戻りが遅い 乗り心地悪い ギャップ通過時に路面の追従性が悪い ステアリング操作に対し、バイクの挙動が不自然 原因 リバウンドダンピング過大 对策 リパウンドダンピングをアジャスターでソフト方向にアジャスト 必要に応じてフォークオイルを低粘度なものに変更する。

問題点6. フロントフォークの動きが落ち着かない フロントの動きがフワフワする フォークの戻りが速すぎる 原因 リバウンドダンピング不足 对策 リバウンドダンピングをアジャスターでハード方向にアジャスト 必要に応じてフォークオイルを高粘度なものに変更する。

問題点7. フロントフォークが底付きし、衝撃がある。 フロントフォーク、ホイールが振動する。 ストロークに応じた反発力、プログレッシブ効果が少ない。 原因 フォークオイル油面が低すぎる 対策 フォークオイル油面を5mm~10mm程度の範囲で変更する。

問題点8. フォークの動きが固すぎる ハンドルに衝撃が伝わる ブレーキング時にオイルロックを起こし、ホイールが跳ねる ゴツゴツして乗り心地悪い フルストロークしない 原因 フォークオイル油面が高すぎる 对策 フォークオイル油面を5mm~10mm程度の範囲で変更する。

■更なる安全性と快適性の追求

以上でテストライドは終了です。もっとも望ましい結果は、あなたが自身でセッティングされたパイクに満足される ことです。 しかしながら、実走テストをしてセッティングを施したにも関わらず、結果に満足されない場合は以下のような理由 が考えられます。

  1. フロントフォーク及びリアショック自体の性能が充分でない 2. 前後サスペンションが充分にメンテナンスされていない 3. セッティングの方向性が正しくない

貴方の好み、要求を正しくセッティングに反映する為に、前後のサスペンションを豊富なアジャスタビリティを持つ 高性能なユニットにリプレイスすることは、これらの問題を解決する近道となります。 WPサスペンション社では数多くのモーターサイクルにショックアブソーバー及びフォークスプリングの製品を ラインナップをしています。 お近くのWP正規品取り扱いディーラーまでご相談下さい。 既にWPサスペンションをお持ちの方は、WP正規メンテナンスショップでメンテナンスをしてみて下さい。 仕様変更の可能なサスペンションは貴方が抱える問題を結果的に低コストで解決できる場合が多いです。 更なるメリットとしてオーバーホールすることで新品時の性能を長く維持することが可能です。

純正のフロントフォークを使用している場合は、高品質なWPのプロラインスプリングを使用してみて下さい。

貴方が抱える問題をWP正規代理店に相談してみて下さい。その豊富な知識で問題解決の糸口が見つかるでしょう。

高品質なWPを装着しカスタマイズすることで、貴方は最高の安全性と快適性を手に入れることができるでしょう。

■セッティング作業

貴方はテストライディングを終了し、データをとることで現在のバイクの状態や傾向を探ることができました。 そして、問題を解決する為のセッティング作業に入りますが、サスペンションセッティングは非常に繊細で正確な」 作業を求められます。

もしも貴方自身のセッティング作業に100%の自信がなければ、作業はプロの手にゆだねて下さい。 しかしこのガイドを熟読して理解し、作業することで希望するセッティングに到達できることでしょう。 (これはあなたのバイクのサスペンションがフルアジャスタブル仕様の場合に限ります。多くのパイクのサスペン ションではリアのプリロードのみしか調整できません)

貴方のサスペンションがフルアジャスタブル仕様でかつ、再セッティング作業が終わったにもかかわらず テストライディングの結果に満足できない場合・・・どう対処すれば良いのでしょう? それはつまり、貴方の使用されているサスペンションの状態が悪いか、本来の性能が充分でないということが考えら れます。 そのような場合にはWP正規ディーラーにお問い合わせ下さい。有効なアドバイスが得られることでしょう。

サスペンションそのものを高性能なものに交換することが唯一の問題解決方法であることがしばしばあります。 例えばフロントフォークでは、高価なフロンフォーク本体に交換するのもそうですが、高品質なWPプロライン フォークスプリングに交換することで、大幅にコストを抑えて問題を解決することもできるかもしれません。 WP正規ディーラーで最も効率が良くコストパフォーマンスの高い解決方法をご相談下さい。

リアサスペンションのパフォーマンスが充分でない場合は、リアサスユニット交換が最も有効な解決なるでしょう。 普段からバイクの整備をされていない方は、リアサス交換はプロに任せことを推奨致します。

■WPサスペンション=新しいハンドリングのバイク

WPサスペンションを装着し、正しいセッティングすれば、貴方のバイクのロードホールディング性能は劇的に向上 します。そして同時にハンドリングの自由度と快適性が大幅に向上します。 それは安全性の向上と言うことだけでなく、パイクに乗る上で、もっと根本的で最も重要な部分である “バイクを自在に操る喜び を大幅に増加させます。 正しい選択をされた新しいサスペンションユニットの装着は貴方のバイクを生まれ変わらせると言っても過言ではな いでしょう。後はご自身の厳しい視点でテストライドをして、その性能をお確かめ下さい。